不安全行動(Unsafe Movement)

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 ここでは主に、業務上の災害や交通事故について、言っておりますが、登山にも関連していると思われます。


●ルール違反をする理由

 @ルールを知らない。忘れている。Aルールの理由を理解していない。Bルールに納得していない。C皆も守っていない(皆で渡れば恐くない・つられて)。D守らなくても注意を受けたり、罰せられたりしない。D監視体制・方法がない。


●不安全行動(Unsafety Movement)

 法律・規則,あるいは社会的・慣習的ルールに反する行動のうち,本人または他人の安全を阻害する可能性のある行動を意図的に行うこと。すなわち、あえて危険性のある行動をおこなうことであり、リスクテイキング行動に含まれる。

 高速道路で渋滞にはまり、約束の時間に間に合いそうもない。そんな時、あなたはどのように行動するか?「仕方ない…」と諦めるか、とにかく少しでも先に進める車線に移ろうとするか、それとも規則を無視して危険走行をするか…?ストレスが掛かる状況下で、意思決定をする際に、無意識のうちに現れる「ハザダス・アティチュード(危険な態度)」を分類し、そのタイプにより対策を行う。


●逸脱行動

 個人または集団が、その所属する集団や社会の標準(Social Standard)から外れた状態にあったり、標準的でない行為をしたりすること。犯罪、非行、問題行動、異常行動など。学校では非行や不登校などが該当する。

 素因論(逸脱者に原因を求める)、緊張理論(社会が悪いとする)、文化学習理論(学習による結果とする)、統制理論(ボンド理論)などさまざま。


●逸脱行動の分類

 「個別的-全体的・普遍的」、「一貫性-状況適合・臨機応変」の二軸で分類すると、合法性(Legality)、道徳性(Morality)、忠節性(Loyalty)、能力性(Capacity)の四つに整理できる。


●アノミーAnomie仮説による逸脱行動論

 順応(Conformity)、革新(Innovation)、儀礼(Ritualism)、世捨て人(Retreatism)、反抗(Rebellion)などに分類。(アノミー⇒欲望の無規制)


●相互監視システム

 可視化、ガラス貼りの管理体制。「見る-見られる」の立場が固定しない。しかし、適度の私秘化の許容も必要。


●リスクテイキング行動(Risk Taking) リスク行動

 危険と知りながら敢行する意思決定プロセス。@リスクに気が付かない。A主観的にリスクが小さい。Bリスクを犯しても得られる目標の価値(リスクの効用)の方が大きい。Cリスクを避けた場合のデメリット(危険回避の不効用)が大きい。(人は、わずかな骨を惜しむ生き物。) 例、少し離れた横断歩道を通らない。黄色信号でスピードを落とさずに(逆にスピードを上げて)通過する。(手抜きと効率性→物理的にできなくするか、厳罰で臨むか)


●リスクテイキング行動の誘発(促進)要因、抑制要因

 危険感受性(Dangerous Sensibility)、リスク評価の違い、リスクの効用、リスク回避の不効用、人につられて、仲間にかっこよくみせたい心理(自己顕示欲)、危険なことをするスリルを楽しみたい気持、違反を見つかって罰せられる確率や、その結果に対する見積もりなどが影響する。

 無判断、遵法精神の欠如、欲求不満・緊張・葛藤の解消、逸脱行動、可視化。


リスクテイキングの分類←Word文書


●リスクを好む人(リスクテイカーRisk Taker、リスキーRiskyな人)

 リスキーな人は、何をするにも一貫してリスキー?。リスクの過小評価と自己の運動能力への過信が特徴。活動的、外向的、新しい物好き、刺激を求めるタイプ。リスクそのものが目的。刺激欲求(Sensational Seeking)、新奇性の追求。


●リスク・ホメオスタシス理論(Risk Homeostasis Theory)、リスク恒常性理論、リスク・ホメオスタシス説

 カナダの心理学者ジェラルド・ワイルド氏の理論。安全対策により、人間の行動はリスキーな方に変化する。技能講習はリスクの目標水準を引き上げる。技能や装備を向上させると、かえって事故が増える。結果として、リスクは変化しないとする。

 ドイツの連邦交通省による、ミュンヘンのタクシー運転手の調査では、ABS装着車の方が事故件数は遥かに多かった。対策としては、受容するリスクの目標水準を引き下げる心理的動機づけが大切。(命の尊さを子供の頃から教える、事故の損失を強く実感させる) 北欧では、氷上での運転講習を実施した所、その講習により自信を持った受講生たちの事故が却って増加し、以後の講習会は中止になったという例が知られている。


 ※登山行為そのものが、不安全行動だといえなくもない。山登りする人は、みんな刺激希求欲(Sensational Seeking)が強い人ばかりか?

   設問2.登山者に、さまざまな注意やアドバイスをしても、喜ばれないのはなぜか?

   (Psychological Reactance) リスク評価、 リスクの受容レベル

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