遭難救助体制

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 遭難の捜索・救助活動で大切なことは、二重・三重遭難を誘発しないことである。そして、いかにして多くの協力を得て、早期にスムーズな捜索を行うかが鍵となる。

 詳細な記録を残すことも大切。これは後々の捜索に役立つだけでなく、類似の事故の防止にも繋がる。最終的には金銭的な処理も必要となる。


●組織@

 委員会形式の対策本部を立ち上げるのがベスト。個人プレーでなく、会員全体の意識疎通をはかり、役割分担を明確にする。上部団体との連携も大切。

 この場合、ある程度人員を絞り込むことも必要。当てにならない部分もあるので、自発的な行動を大切にする。強制ではないことを明確にしておく。

 特に現場に入った時の二次災害は、自己責任の様相が強いので、保険に加入している者だけに限定する必要がある。ここの所は特に重要。

 また、遭難者と関連の深い人は、誰でも彼でも現場に入ろうとするので、これを管理する必要がある。とかくメンバーは過激な行動に走りやすいので、第三者的発言をする冷静な者の意見も、排除せずに聞く必要がある。


●組織A

 渉外係⇒家族への説明。警察との連携。

 会計係⇒食料、装備、通信、交通、宿泊、日当・・・、これらを賄う。友情捜索の場合は自己負担となるが、本部の経費は残る。本人の山岳保険の有無や、家族との交渉が鍵となる。

 記録係⇒詳細な記録を残す。後々の捜索活動の役に立つことを考えて記録する。必要に応じて後日、遭難の報告書を作成し配布することになる。


●通信経路の確立

 末端の情報が正確に、本部や上部団体そして家族へ伝わるように、そして本部の計画や指令が末端に伝わるように、通信・連絡経路を確立することが重要。

 特に現地の捜索に当たっては、迅速な行動と人員の投入が求められるので、通信経路を確立した上で実施することが不可欠。


●情報の管理

 遭難発生時には、さまざまな情報が多量に飛び交い、正しい情報が正確には伝わらない。非難・中傷合戦になり易く、また間違った情報は非常に早く伝わり易い。

 したがって、憶測だけで不用意な発言をしないことが大切。


●捜索活動

 計画的に実施することが必要。特に無駄な捜索を繰り返さないためにも、現場を荒らさないためにも、また二重・三重の事故を起こさないためにも、見取り図を作って全体に周知させ、捜索方針を明確にしておくことが必要。

 協力をしてくれる人のために、テント場・水場や集合場所を明らかにする。捜索の推移が後の人に分かるように、現地には捜索日誌を設置し、情報の継続性を確保する。


●搬出計画

 ヘリの使用が可能な場所か、現場の状況によってかなり異なる。生存の見込みがあるのかないのか。持参する装備は何かを吟味する。


●挨拶・謝礼

 現地の警察や消防、役所への挨拶は本人・同行者・家族と共に組織の然るべき人物が早期に出掛ける。遭難の形態によってさまざま。


●最終報告

 できることなら、遭難の一部始終を報告書としてまとめ、関係部署に配布する。特に捜索における問題点は今後のための重要な参考となる。

 報告書は、その制作目的を明確にしておく。単なる追悼集か捜索の記録か、それとも今後の登山活動に広く役に立つものか、その内容によって利用価値が大きく左右される。


●おわりに

 

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