動機(Motivation)

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●社会的動機

 一次的または生理的動機から派生した二次的動機で、外的報酬を得ることによって解消される外発的動機の一つ。社会的動機は生理的動機づけによる行動を基盤にして、家族・友人・職場などでの社会的接触の中で獲得される。

 社会的動機は長い生涯を通じて学習される点で、学習的動機といえる。達成動機、親和動機、承認動機、威光動機、不安動機・・・など


●達成動機(Achievement motive)

 その文化において、優れた目標であるとされている事柄に対し、卓越した水準でそれを成し遂げようとする意欲。簡単にいえば、困難とされていることを、上手く成し遂げようとする動機。高い目標に対し自己の力を最大限に発揮して、障害を乗り越えて目標を達成しようとする動機のことをいう。


●失敗回避動機

 達成動機には成功達成動機と失敗回避動機がある。失敗回避動機の高い人は、適切な目標をあえて避ける。


●内発的動機(Intrinsic motive)

 達成動機には、外発的動機と内発的動機がある。外発的動機とは、地位・名誉や金銭などの外的報酬(賞罰)に基づく動機であり、内発的動機とは、自己決定感・自己有能感・知的好奇心・人間的共感(重要な他者からの受容感Interpersonal relatedness)などに基づく自発的・自律的な動機である。


●応答的環境

 応答的環境とは、努力が報われ、常に自己有能感を体得できる環境をいう。外的報酬は、その情報的側面により自己有能感を高めるが、逆にその制御的側面が認識されると却って内発的動機は低下する。自己効力感(Self Efficacy)は効力予期(Efficacy Expectancy)と結果予期(Outcome Expectancy)とからなる。

 キーワード⇒有能感、自律性、受容感


●アンダーマイニング効果(Undermining Effect)

 内発的に動機づけられた行為に報酬を与えると、動機づけが低減する現象。報酬の予期だけでもこの効果は発生する。監視、期限設定、評価教示などの外的拘束を意識することによっても発生する。


●エンハンシング効果(Enhancing Effect)

 内発的達成動機が言語報酬(賞賛)などの外的誘因により強化される現象。


●競争的達成動機

 内発的達成動機には、自己充実的達成動機と競争的達成動機とがある。


●自己確証動機(Self-verification motive)

 人は、自分はこんな人間であると日頃から思っている自己概念を確証・確認してくれるような社会的現実を求め、それを実際の社会的環境と自分の心の中に作り出すように行動したり解釈したりする。


●自己査定動機(Self-assessment motive)

 人には、自分の能力を知りたいという欲求があり、正確な判断が得られる課題を選択する。自己の否定的側面と関係する。


●自己高揚動機(Self-enhancement motive)

 自分についてよい感情を持ちたい、生きている価値のある人間だと思いたいという動機づけ。自尊感情が脅威にさらされている場合に顕著になる。


●学習性無力感(Learned Helplessnes)

 自分ではどうにもならない状況の中で、不快な刺激を与えつづけると、自分で対処することも無くなり、対処する意思も見せなくなること。

 努力した結果が報われない状態が長く続くと、あえて努力しようとはしなくなる現象。


●心的飽和

 いかに興味深いことであっても、そこに長期間身を置くことによって、いずれ飽きがきてしまう。

 ある特定の課題に対し、関心度や達成動機が高い人ほど心的飽和は早く訪れる。意識活動の過大な関与や、課題との距離(格差)に対する無力感による。集団活動では、心的飽和は遅くなる。


●動機づけMotivation=誘因Incentive(目標Goal)×動因Drive(欲求Need)


●動因低減説(Drive reduction theory)

 ハル(Hull)はホメオスタシス(Homeostasis)の原理に基づく動因(Drive)という概念を導入し、定常状態からのずれが動因であるとした。

 これが後の期待・価値理論や内発性達成動機説の出発点になった。


●期待価値説(Expectancy value theory)

 動機付けMotivationの強さ=期待Expectancy(可能性)×価値Value(必要性・誘意性)


●価値Value=魅力Fascination×効果Effect

達成動機(Achievement motive)
親和動機(Affiliation motive)
承認動機(Appoval motive)
威光動機(Prestige motive)
不安動機(Anxiety motive)
成長動機(Growth motive) 成長志向Growth oriented  欠乏志向Deficiency oriented
内発的動機(Intrinsic motive)

  強化理論(報酬と罰) 罰の副作用(反発や抵抗心を持つ、人間関係悪化、罰だけでは何をすれば良いか分からない)

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