心理学一般
●葛藤、コンフリクト(Conflict)
個人の行動を決定する複数の要因間の矛盾。接近-接近型、回避-回避型、接近-回避型に分けられる。
年齢や生きた環境、経験が違えば、人間の価値観、考え方は十人十色。そんな人間同士がチームを組めば、コンフリクト(葛藤・意見の対立)は間違いなく発生する。コンフリクトが感情の対立にまで発展すると、もはやチームは機能しなくなる。コンフリクトが発生した場合の適切な対処方法が課題となる。
●接近-接近コンフリクト(Approach-Approach Conflict)
複数の要求の対象が、ともに正の誘因性を持ち、いずれも満足させたいが、同時にはかなえさせることができない状況。
●回避-回避コンフリクト(Avoidance-Avoidance Conflict)
複数の要求の対象が、ともに負の誘因性を持ち、どちらも避けたいが、それができない状況。
●接近-回避コンフリクト(Approach-Avoidance Conflict)
要求の対象が、同時に正と負の誘因性を持つ場合。あるいは負の領域を通過しなければ、正の領域に到達できない場合。
●複合型のコンフリクト
複数の目標(選択肢)があって、それぞれが正あるいは負、または両方の誘因性を持つ場合。現実の多くの問題はこれに該当する。
●心理的リアクタンス(Psychological Reactance)
態度や行動の自由が脅かされたときに喚起される、自由の回復をめざす動機付け状態。リアクタンスの前提条件が大きいほど(自由が確信されているほど、自由が重要であればあるほど)自由への脅威が大きく、喚起されるリアクタンスも大きい。自由を侵害された行動への魅力や、自由侵害者への敵意が増大し、運命の自己支配感が大きくなる。
●ブーメラン効果(Boomerang Effect)
説得内容とは逆の方向へ意見や態度を変化させる現象。受け手への不信感や最初に持っている態度が複合的、あるいは説得者が高圧的な場合などに生ずる。
合理化(失敗して言い訳をする)、投影(他人を非難して自分の気持を隠す)、補償(替わりを無理して探す)、退行(子供のような行動をする)、逃避(その場から逃げ出す)、抑圧(ふさぎ込む)、攻撃(八つ当たり)
●逃避的自己傷害
自我の防衛機制の内、自己に向けられた攻撃反応。欲求不満に基づく自己破壊的反応。フロイトの用語。
具体的には、戦場の悲惨さ・残酷さに拒否反応を覚えた兵士が、無意識に怪我(中軽傷)を好む心理。自分自身で手足を撃つ場合もある。工事現場などで、しょっちゅう事故を起こし、休暇を取りたがる作業員などが該当する。仮病の心理に近い。大きな苦痛を前に、小さな苦痛が好ましく感ずる心理。
●懲罰的自己傷害
罪悪感・嫌悪感に基づき、自分自身に向けられた攻撃反応。フロイトの用語。事故多発者の深層心理の一つ。自分が原因の一つである、子供の病気治癒を目的に、お百度参りや水垢離に精を出す心理。罪悪感に基づき、無意識に危険な場所を徘徊(はいかい)したがる心理。
山では、パートナーを自分のミスで失った者が、その後ますます山にのめり込むような心理。
●自己ハンディキャップ化(Self Handicap)
これからすることに自信がもてないとき、不安が大きいとき、あらかじめ「言い訳」をしておくこと。失敗の責任転嫁を容易にする。「マイナス思考の人に多い」
●心の返報性(Reciprocity)の法則
好意的な言動には好意的な印象を持つ。悪意や反感に対しても同じように返そうとする反応。⇒ヒント 自己開示(Self Disclosure)、類似・異質性認知(Similarity・Difference Perception)、役割行動の分担(Role Behavior Assignment)内面的情報と非内面的情報、支援性、自律性、類似性、娯楽性、近接性、力動性
●感情的な人
情緒不安定。自己中心的な人。
●タイプA
心筋梗塞になりやすい性格をタイプAという。競争的・野心がある・いつも急いだ気分だ・全力を尽くす・認められたい・むきになる、などといった性格を示す。
●マキシマイザー(最大化人間)(Maximicer)
どこかに絶対的な正解があって必ずたどり着ける、途中で満足して努力を放棄しては将来に禍根を残すと信じ込み、常に正解を探す人。最高でなければダメというのが「マキシマイザー(最大化人間)」、「マキシマイザー」は、終始「もっと良いものがあるかもしれない?」という疑いや気掛かりに苛まれ続ける。女性に多い。
●サティスファイサー(満足人間)(Satisficer)
世の中には絶対的な正解はなく、限りなく妥当な解に近づくことができるだけという現実主義者。まずまず良いものでよしとして「もっと良いものがあるかもしれない?」とは考えないのが「サティスファイサー」。男性に多い。
●選択的情報処理
人の性質を、一部分に限って局所的に見て判断しようとする傾向。⇒人の性格は多面体。
●規範への同調性
融通がきかない人、潔癖症の人は、規範のグレーゾーンを認めない。価値観が偏っていることが多く、細かい人が多い。
●ズルイ人
失敗ばかりしている人。それをカバーするために、自分を高く評価されたいという思いが強い。
●共依存(CoDependence)
一方が薬物やアルコール依存などのため頼れる人を必要とし、他方が、その人に頼られることで自己の存在価値を確認するというような関係が固定化してしまったとき、共依存の関係にあるという。
頼られる人を共依存者と呼び、彼らの長期間の自己放棄や感情抑圧による不適応も心理的な問題とされている。(アダルト・チャイルド)
●プリマックの原理(Premack Principle)
いつも表れる行動が、表れることの少ない行動を強化する現象のこと。
●マスキング現象(Masking Effect)
非常に短い間隔で、異質な情報を次々に見せられると、情報内容間の干渉が起こり、ある情報が欠落してしまうこともある。これをマスキング現象という。
何か目標とするものがあって、それに向けて行動するための、意欲(動機づけ)。モチベーション=誘因(目標)×動因(欲求)
●自己効力感(Self Efficacy)
ある結果に必要な行動を、うまく実行できるという確信の程度。自己効力感は効力予期(Efficacy Expectancy)と結果予期(Outcome Expectancy)とからなる。
●自己中心性(Egocentrism)
幼児期における認知的発達の特徴。自分と異なるさまざまな視点があることを知らず、自分中心の見方からしか認知・理解することができないこと。
●アニミズム(Animism)
文化人類学の概念で、原始民族の信念に発する。自然を擬人的に考え、人と同じように霊魂を持っているという信仰。児童心理学では、子供の原始的思考様式。すべてのものが魂をもち、様々な影響力をもつと考えること。成長するに従い、動くものだけ、動物だけと変化する。ピアジェ
汎神論とも呼ばれる。ウェルナーはこのような知覚様式を相貌的知覚(Physiognomic Perception)と呼んだ。
●オリエンタリズム(Orientalism)自文化中心主義
主に、欧米で見られる東洋への憧れや偏見を指す。おおざっぱでいい加減な枠付けをもとにした考え方のこと。
●エスノセントリズム(Ethnocentrism)
自分が属している文化・民族のローカルな常識を唯一絶対の基準であるかのように勘違いしたまま、よその文化を低く評価する態度。
●遺伝子還元論
遺伝子さえ解析すれば、すべてが予想できるとする神話。
●クロニンジャーの七因子
遺伝的な影響を強く受ける四つの因子=「新奇性追求」「損害回避」「報酬依存」「固執」
環境的な影響を強く受ける三つの因子=「自己志向」「協調」「自己超越」
脳の傾向や神経伝達物質のバランスを左右する遺伝要因があるとされる。
●コンプレックス(Complex)
心的外傷などの苦痛な体験における情動や、その体験にまつわる観念や記憶の集合。コンプレックス⇒複合したもの。
●失見当識(Disorientation)
現在自分のいる場所や時間、自分自身、周囲の状況についての正しい認識が失われること。重度の低体温症や頭部外傷、認知症などで現れる。
●準拠集団
個人が、自分や他人を評価したり、自らの態度形成をする場合にその基準となる集団。⇒所属集団
●ピグマリオン効果(Pygmalion Effect)
誤ってプラスの印象を抱いたときに、相手がその印象(期待)の方向へ、実際に変わる現象。その人にとって大切な関係にある周囲の人の期待が本人に伝わり、学習能力や知能などに変化が起きる現象。ギリシャ神話(ピグマリオン王が恋した彫像が、人間に変わった話)にちなんで名づけられた。
●ゴーレム効果(Golem Effect)
誤ってマイナスの印象を抱いたときに、相手がその印象(幻滅)の方向へ、実際に変わる現象。
●光背効果(Halo Effect)
ある人が何か良い性質を持っていると、その人の他の面まで良いと思い込んでしまう現象。対人認知の歪みの一つ。
●カタルシス(Catharsis)
浄化及び排せつ。抑圧されて無意識の中に留まっていた精神的外傷によるしこり(苦痛や悩み)を、言語・行為または情動として外部に表出することによって、症状を消失させようとする精神療法の技術。苦痛や悩みなどを言葉に出して表現することによって、それが解消できることをいう。
●シンクロニシティ(Synchronicity)
共時性ともいう。意味のある偶然の一致をいう。ユングの用語。一度事故が発生すると、何故か立て続けに似たような事故が連続して発生するような、因果律では説明のできない不思議な現象をいう。例⇒以前、登山中に地図を落とした地点に数十年振りに出掛けたら、同じ地図が落ちていた。DIYショップで時計のコーナーを覗き込んだら、自分の腕時計がたった今止まったばかりだった。
●動力学的犯罪観(メツガーの公式)
KrT=f(aeP・ptU) 犯罪行為は、人格Pと環境Uの関数。人格Pは素質aと発達度e(特に幼児期の発達)によって決まり、環境Uは犯因性人格環境pを形成する上でも、犯因性行為環境tを決定する上でも影響を及ぼす。すなわち、犯罪行為は人格と環境の関数であり、PかUの一方が0であれば、犯罪が生じないことになる。
※ 心理学の知識は 人間関係をスムーズにするには、ある程度理解している必要があるかと思います。