トップページ>遭難全般

考察

 登山者の高齢化に伴い山岳遭難件数が増加しています。遭難者数はここ10年の間に約2倍に増加し、更に年々増える傾向にあります。遭難事故の内容にも変化が見られます。登山道での転倒・発病・道迷いなど、いってみればごく初歩的な事故が増加しています。登山者の高齢化に伴う体力や平衡感覚の低下が原因と思われますが、一方では全体的なモラルの低下も指摘されています。

  ●山岳指導員などの忠告を受け入れない。通行禁止区域への侵入。

  ●地図・雨具・懐中電灯(ヘッドライト)などの基本的な装備を持参しない。

  ●行った先々で人に聞く。(自分で調べない)

  ●安易な救助要請。自助能力の欠如。

  ●未組織登山者の増加。

 登山者は大きく2つのタイプに分けることができます。山岳会などの組織に加入して教育・訓練の機会を与えられている登山者と、そうでない登山者。積雪期・沢登り・クライミングなどどちらかといえば高度な山登りを目指すタイプと、ガイドブックなどをたよりに登山道の整備された山へ出掛けるタイプです。必ずしも組織化の環境とその行動パターンとが一致しているわけではありませんが、大きく分けることは可能かと思います。更に観光客や世界的に活躍しているクライマーまで加えると全体で四つのカテゴリーに分類することができます。

分 類 特 徴
1. 観光客(ツーリスト) 知識や経験が不足
2. 未組織登山者 モラルの低下
3. 山岳会に所属 自助能力の欠如
4. 世界的に活躍している登山者 能動的なリスク

 遭難対策は、これらのグループに分けて考える必要があります。観光客(ツーリスト)については危険な情報を早く知らせる。未組織登山者についてはモラルの向上、基本的な登山技術の教育・訓練。山岳会等については自助能力の向上やリスクの判断能力の向上が求められます。


今後の課題

○効果的な遭難防止策の研究・立案とその実施。

○未組織登山者への啓蒙と、山岳会の自助能力の向上。

先頭へ戻る